8月、幼稚園、小学校等は夏休みの月です。 私は屋内で仕事をしているので、平日昼間の子ども達の様子 を見ることは少ないのですが、土曜・日曜や自分の夏季休暇な どで外へ出ると休日の幼児や小学生の外遊びの姿が、20年ほ ど前と比べると少なくなったように感じています。近年の8月 は猛暑が続き、外での遊びは熱中症等の心配があるからでしょ うか、また、連れ去り事件等の影響もあり、子どもだけで外遊 びをさせなくなったからでしょうか。はたまた、子どもの遊び がゲーム等の室内型に変化したからでしょうか?
幼児期における遊びや体力、運動能力・運動習慣等に関する調査には、日本小児保健協会の調 査や文部科学省の「体力向上の基礎を培うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査 研究」があり、これらの中で現在の幼児の遊びの占める割合は「絵本、テレビ・ビデオ、お絵か き・粘土・ブロック等」の割合が高くなり、「自転車・三輪車等」は減少傾向にあるとなってい ます。活発に体を動かして遊ぶ機会が少なくなりがちであり、約2割の子どもが3歳ぐらいまで に積極的に体を動かす遊びをしていないと報告されています。 また、外遊びをする時間が長い幼児ほど、体力が高いということがわかっています。しかしな がら、約4割の幼児が1日に外遊びをする時間が60分未満であることもわかりました。
近年の様々な生活上の課題は、幼児が体を使って遊ぶ機会を減らし、体力や運動能力に影響を 与えているようです。幼児が体を動かして遊ぶことは、身体の成長に関係することだけではな く、社会性の発達や認知能力にも良い影響を及ぼします。文部科学省の調査等を基に平成24年 3月に策定された幼児期運動指針の中に「幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、 楽しく体を動かすことが大切です」とあり、幼児期の運動のポイントとして「1、多様な動きが できるように様々な遊びを取り入れること 2、楽しく体を動かす時間を確保すること 3、発 達に応じた遊びを提供すること」の3点が示されています。
各園では保育を行う中で、幼児の健康な心と体を育て、幼児自ら健康で安全な生活を作り出す 力を養うような実践をされていることと思います。しかし、子どもが育っていく中で、休日や長期休暇等の家庭での生活の中の外遊びも重要な部分です。幼児期運動指針のガイドブックには、 保護者への提案もあり、家庭でできる幼児の体を使った遊び等が示されています。ぜひこれらを 使用して、保護者会やPTA主催の研修会等で体を使った外遊び等の必要性や方法等を提案して ほしいと思っています。
栃木県幼児教育センター