体を使って遊んでこそ!

 幼少期に遊んだこんなことを今でも覚えている。自分がやりたいこと、見つけた遊びを、満足するまで とことんやっていたからだろうか。遊びの中で「こうすればできる」「ここまでならば大丈夫」失敗しな がらも何度も繰り返す中で、体を使うコツやバランス感覚、力加減などをつかんでいた気がする。こうし たことが自然と自分の身を守ることにつながっていたのかもしれない。

  わたしの家の前庭には、わたし専用の木があって、そこに登って、よくおやつを食べていた。ただ、おやつを絶対落とさないように片手で登るため、足をどの枝にかければよいか、体をどう動かせばよいのか考えな
がら、腰を下ろすまではいつも真剣だった。一息ついても足をしっかり踏ん張っていたり、おしりでバランスをとっていたりと体のどこかには力を
入れていた。スリル満点であっても、高いところでおやつを食べたい一心でやり続け、そのときの達成感はたまらなかった。
 家の周りにはりんごの木が広がっていた。地面から程よい高さで、程よい太さの枝を見つけて私の低鉄棒とした。前回りを繰り返したり、一本橋として歩いたりしていた。地面に足が着かないように体を縮めて回ったり、枝から落ちないように足の付き方を考えたりしてうまくできるようになると、ちょっと自慢をしたい思いだった。 

園児

 ところで、小学校の先生から幼稚園等の先生に、このようなお願いの声を耳にしたことがあります。 「きちんと席に座っていられるようにしてきてください」
 
 では、そのために幼稚園等ではどのような指導?いや、体験?が必要なのでしょうか。 子どもの内面に働きかける幼児教育を通して、自ら座って活動しようとする集中力、思考力や判断力等、そして体幹 を、子どもの発達に応じて育みたいものです。幼児期には、子どもの「やってみたい思い」を引き出し、全身を使った多 様な遊びを通して、子どもの「芯」を育んでいくことが大切ではないでしょうか。
 
 そこで、「芯」を育むために、大切にしたいこと!  子どもにとって、「うまくいかない」「自分の思い通りに進まない」などの負の場面に出会うことは、とても大切な経験です。そのとき、子どもは、自分の思いを理解し、見ていてくれる大人の存在を感じることで、安心感を持って粘り強く取り組むことができるのだと思います。保育者は、その子なりの思いを理解し、共感しながら、子どもたちが遊びや人間関係等を創り出していく過程をサポートする関わりが大切だと思います。大人が整えすぎない環境の中で、子どもはたくましさを身に付け、思考力や判断力などの「芯」が育っていくのではないでしょうか。 (2018.6 幼児教育センター)

 

自発的な活動としての多様な遊びの中で「芯」が育まれます。 だから「体を使って、たっぷり遊んだ子は席に座って学ぶことができます!」